E655系は誰もが知るとおり前代のお召『1号編成』の後継車両として2007年(平成19年)デビュー。

E655‐1を除いた5両で海外からのVIPや一般客などの利用にも対応するとしながらも乗車機会以前の問題に運転回数が少ない。

そんなE655系のデータをこのページではまとめたいと思います。

 


【1号車 クロE654−101 主要諸元表】

車 両 番 号 クロE654−101
所 属 基 地 東オク 尾久車両センター
車体寸法(全長×全幅×全高) 21,115 mm×2,946 mm×3,940 mm
車 体 重 量 50.0t
 車 体 材 質                     アルミニウム合金                     
 主電動機形式
 台      車 TR261形
パンタグラフ
 ブレーキ装置

回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ  抑速ブレーキ  自動空気ブレーキ(機関車牽引時)

保 安 装 置 ATS-P  ATS-Ps
 製 造 メ ー カ ー 東急車輛製造
 定      員 22名
 備      考 乗務員室 車内電力供給用発電機搭載 お手洗い

 


【2号車 モロE655−101 主要諸元表】

車 両 番 号 モロE655−101
所 属 基 地 東オク 尾久車両センター
車体寸法(全長×全幅×全高) 21,115 mm×2,946 mm×3,940 mm
車 体 重 量 46.6t
 車 体 材 質                     アルミニウム合金                     
 主電動機形式 MT75A形 かご形三相誘導電動機
 台      車 DT76形
パンタグラフ PS32A
 ブレーキ装置

回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ  抑速ブレーキ  自動空気ブレーキ(機関車牽引時)

保 安 装 置
 製 造 メ ー カ ー 東急車輛製造
 定      員 32名
 備      考 お手洗い 主変換装置

 

 


【3号車 モロE654−101 主要諸元表】

車 両 番 号 モロE654−101
所 属 基 地 東オク 尾久車両センター
車体寸法(全長×全幅×全高) 21,115 mm×2,946 mm×3,940 mm
車 体 重 量 46.8t
 車 体 材 質                     アルミニウム合金                     
 主電動機形式 MT75A形 かご形三相誘導電動機
 台      車 DT76形
パンタグラフ
 ブレーキ装置

回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ  抑速ブレーキ  自動空気ブレーキ(機関車牽引時)

保 安 装 置
 製 造 メ ー カ ー 東急車輛製造
 定      員 9名
 備      考

VIP室 身障者対応お手洗い ギャレー 静止型インバータ(SIV) 電動空気圧縮機(CP)

 


【特別車両 E655−1 主要諸元表】

車 両 番 号 E655−1
所 属 基 地 東トウ 東京総合車両センター
車体寸法(全長×全幅×全高) 21,115 mm×2,946 mm×3,940 mm
車 体 重 量 40.5t
 車 体 材 質                     アルミニウム合金                     
 主電動機形式
 台      車 TR261A形
パンタグラフ
 ブレーキ装置

回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ  抑速ブレーキ  自動空気ブレーキ(機関車牽引時)

保 安 装 置
 製 造 メ ー カ ー 日立製作所
 定      員 18名
 備      考 特別室 御休憩室 御厠 次室

 

 


【4号車 モロE655−201 主要諸元表】

車 両 番 号 モロE655−201
所 属 基 地 東オク 尾久車両センター
車体寸法(全長×全幅×全高) 21,115 mm×2,946 mm×3,940 mm
車 体 重 量 47.2t
 車 体 材 質                     アルミニウム合金                     
 主電動機形式 MT75A形 かご形三相誘導電動機
 台      車 DT76形
パンタグラフ PS32A
 ブレーキ装置

回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ  抑速ブレーキ  自動空気ブレーキ(機関車牽引時)

保 安 装 置
 製 造 メ ー カ ー 日立製作所
 定      員 27名
 備      考 ギャレー 主変換装置

 


【5号車 クモロE654−101 主要諸元表】

車 両 番 号 クモロE654−101
所 属 基 地 東オク 尾久車両センター
車体寸法(全長×全幅×全高) 21,115 mm×2,946 mm×3,940 mm
車 体 重 量 46.8t
 車 体 材 質                     アルミニウム合金                     
 主電動機形式 MT75A形 かご形三相誘導電動機
 台      車 TR261形
パンタグラフ
 ブレーキ装置

回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ  抑速ブレーキ  自動空気ブレーキ(機関車牽引時)

保 安 装 置 ATS-P  ATS-Ps
 製 造 メ ー カ ー 日立製作所
 定      員 17名
 備      考

乗務員室 身障者対応お手洗い 多目的室 主変換装置 静止型インバータ 電動空気圧縮機

 


【概要】

 前代のお召『1号編成』だがこれらの編成は昭和初期から中期にかけて製造され、現代の技術では部品の製造・調達や保守・整備が極めて困難な状況となっていました。
2002年6月3日陸羽西線にて1号編成を使用したお召列車を運転した際も直前にトラブルが発生し東京総合車両センターの職員の増応援が来るなど緊張のなか運転されたそうです。
この2年後の2004年、E655系の開発が公式発表されました。
E655系は1号編成の供奉車にあたる5両と御料車にあたる1両で編成され前者の5両は海外のVIPや一般客の利用にも対応している。しかし乗車方法は特殊で「大人の休日クラブ」のジパング・クラブ及びミドル・クラブの会員になりツアーに申し込むか近畿日本ツーリストなどの旅行代理店が発売するツアーに参加しないと乗車することはできない。ただし極稀にJR東日本が一般向けの企画列車などに使用する場合がある。
なおこのE655系は団体臨時列車(団臨)として個人が貸し切ることはできない。(筆者体験済み)
 
 

【車両性能】

・外装

車体寸法などはJRの標準特急車両に合わせられている。

これはお召列車として運転した際に緊急時や供奉者の人数の都合などによりE653系やE257系などに組み込んで運転する場合があるからである。
ただし試運転で組成されたのみで実際にお召列車として運転されたことはない。
車体塗装は皆様ご存知のつやつやした鏡の様な独特な塗装だがあれはマジョーラ塗装といい日本ペイント社の登録商標である。
これはクロマフレア顔料が五層構造となっており、表面層と中央層に分かれて光の反射させる量(波長)を変えているからである。
なお鉄道車両ではE655系以外ではすでに引退してしまっFASTECH 360がある。
ちなみにE655系のマジョーラはワンオフで販売されていない。
 
なお4号車モロE654−201の屋根上両端には警察無線の受信機が設置されている(右画像)
 
また編成中でE655−1のみ密着連結器が装備されており違いが発生している。
 
左下の画像が通常の連結面(画像は5号車と4号車の間)で右下の画像が間にE655−1が組み込まれる3号車と4号車の間である。
通常は半永久連結器(連結器をボルトで固定するという近年の電車では一般的な連結器)であるのに対しE655−1が組み込まれる3号車と4号車の間は密着連結器が装備されている。
また全車に引き通されている機関車牽引用の空気ホースもこの間に限り継ぎ目があることに気づく。
なお左画像の方が配線が多いのはユニット間のためだからと思われる。
 
 
 
   
 
 

・内装

E655系はTR車を除いて全車グリーン車扱いとなっており料金計算もグリーン料金が加算される。

座席には大きく分けて3種類があり3号車の革張りシート(9席)、同じく3号車のVIPルーム(座席は布製)4席、その他車両の「レギュラータイプ」(98席)に分かれる。
なおVIPルームの座席は定員には含まれていないので特別車両を除いた編成定員は107名となる。
全座席(全部屋)にモニタが設置されておりテレビ、ラジオ、ビデオ、音楽、ゲーム、GPSによる現在地表示、運転台に設置されたカメラよりリアルタイムに前面展望が楽しめるなど非常に高機能なものである。
またこれらだけではなく飲み物や軽食、グッズなどの注文もすることができ注文後、アテンダントが客室にお持ちするというシステムになっている。
ちなみにこのシステムのOSはWindows XPを採用している。
 
車内の壁は木目調を基本としており床には毛深いカーペットが配置されていて高級感を演出している。
照明も客室は間接照明となっており客室内は非常に屋根が高いかのような印象を受ける。
 
お手洗いは1号車と2号車、5号車に配置されうち1、2号車は洋式便所と男子用小便所、5号車は身障者対応便所となっている。
洋式便所については全てにウォシュレットが装備されている。
なお3号車にもVIP専用身障者対応便所が設置されている。
 
5号車には多目的室が設置されておりベットにして使用することもできる。
3号車VIP席のとなりにはギャレーがあり電子レンジやコーヒーメーカーなどが設置されていて軽食などはここで温められてから車内へ運ばれる。
 
各車両の出入り口の前にはE4系新幹線などに設置されていた折り畳み椅子が設置されている。
これはお召運用時や国賓、国内外VIP輸送時などに警備を配置するための椅子だと思われる。
 
通路は機器室などが多いためやや狭い印象を受ける。
なおクロE654−101の床下には非電化区間入線対応のため発電機が設置されており直上の通路脇機器室にはこれに付随した機器が備わっていると思われる。
 

・性能

基本性能は在来一般型特急列車と大差は無い。
 
電源は直流・交流50Hz・交流60Hzの3電源に対応しており中央線狭小トンネル(第1縮小車両限界)にも対応しておりJR東日本管内はもちろんのこと他の会社線への入線も考慮して設計されている。
なお会社線では富士急行や伊豆急行など。JR他社線ではJR西日本(2008年4月16日に直江津〜金沢間を走行)などへ入線実績がある。
 
一般車両と圧倒的に桁違いなのは「重量」である。
編成中で一番重い車両は1号車「クロE655-101」で50.0tの重量がある。これはこの車両にディーゼル発電機を搭載しているためで電動車より重いという結果となる。
次に重いのは電動中間車で46.8t、一番軽量なのはTR車で40.5tである。比較に在来線一般型特急車両のE657系の重量は全車平均して38tほどであり、このE655系自体超重量級といえる。
 
前途の通り1号車クロE655-101には非電化区間へ入線するためディーゼル発電機を搭載しており、同時にブレーキの読み替えも行う。
EF510-500など電気指令ブレーキが可能な機関車に関しては読み替えを行わず制御できるかは不明だがこのクロE655-101により自動空気ブレーキにて制御する機関車でも電気指令に変換し全車を制御することができる。
なお万が一ディーゼル発電機に不具合が発生しブレーキ読み替えが不可能になった際でも全車、エアホースを通しており機関車からの自動空気ブレーキが作用する。
 
運転に関わる回路等はほぼ全て二重構造となっておりバックアップが可能である。
パンタグラフは1両につき2器、編成合計で4器積まれている。
 
その他様々な面を見ても完璧な車両である。
 
 

・特別車両 E655−1

編成中3号車と4号車の間に組み込まれるのが日立製作所製造の特別車両E655−1である。

編成中1号車側であり特別車両の乗降口側にある次室、中央に位置する特別室、特別室からみて右側の襖を開けると休憩室、さらにその奥には御厠(御手洗)がある。

次室は4席×4席の対面座席となっており座席上には収納棚がある。特別室側のドア上にはLED表示器が設置されており列車の運行状況などを表示させるものと思われる。

特別室は中央に4席が向かいあうような形で設置されておりその周りに2席ずつ囲むような形で設置されている。中央に大きな四角いテーブルが一つと周りの2席ある椅子の間に丸いテーブルが2つ、計5つのテーブルが設置されている。次室側の中央に扉が一つ、反対側には左右一つずつ扉がある。床には伝統模様の手織り絨毯が敷いており壁、天井及びテーブルには大分県産最高級行者杉が使用されている。窓寸法は他の車両と違い950mm×2,200mmと非常に大きく電動昇降式となっている。

休憩室はソファベッドやテーブル、部屋の奥には三面鏡、姿見がありその休憩室を進むと御厠(御手洗)がある。ソファベッドが設置されている部分と三面鏡が設置されている部分では3枚の仕切りによって完全に個室化することが可能である。左側の襖をあけると通路となっており休憩室へ直接入れる扉もある。なお通路から直接御厠へ入る扉は存在しない模様。

定員は18名となっており次室の8席、特別室の8席、休憩室の2席を合計した数だと思われる。

特別室及び御厠を除いた室内は全て絨毯が敷いてある。なおこの絨毯は3号車モロE654−101のVIP室及びその脇の通路に敷かれているものと同じものである。

ちなみに特別室は先述のとおり伝統模様の手織り絨毯、御厠は絨毯など敷いてなく茶系の床となっている。

 

外装は他のE655系とは大差ないが空調設備などの屋根上機器が床下に納められており、屋根上には次室の表示器で流すと思われる運行情報を受信するための列車無線のような受信機が2つ取り付けられているのみである。(警察無線の受信機は4号車に設置されているのでこれは警察無線とは関係ないものと思われる)

またE655−1は単独での配給用に空気ホース、高圧ホースが備え付けられている。空気ホース(右写真奥のオレンジ色のコック)及び高圧ホース(同じく右写真手前の白色のコック)はコックのみの取り付けだが、ホースを取り付けるだけですぐに機関車による牽引が可能となる。また後部標識の取り付け用ステーも取り付けられている。

なおクロE654−101及びクモロE654−101にも機関車牽引用に空気ホースが取り付けられてある。後部標識はディーゼル発電により自車標識が使用可能になるためステーなど存在しない。


 

戻る

inserted by FC2 system